いつかは走ってみたい場所の上位に常に挙げられる「サーキット」。その言葉の持つ独特の雰囲気から、「興味はあるんだけど、ちょっと…」って気持ちを芽生えさせる事も多いようですが、ルールとマナーをしっかり守れば、意外と敷居は低いもの。
メーカーやショップ主催の走行会なら、自分の経験や技量に合わせて参加するクラスを選べる事が殆どなので、初めてのサーキットにはまさにぴったり。
そんなあなたの為に、サイドスタンド(SIDESTAND.JP)からのちょっとしたアドバイスをお贈りします!
これさえ読めば、どんな走行会でも困る事は殆どありませんよ!
※サイドスタンド(SIDESTAND.JP)スタッフによる代表的な手順を紹介したもので、確実に安全が確保できると保証するものではありません。
サーキットは、路面も整備され、対向車や歩行者も無い、純粋に「走る為の場所」として作られています。路面の変化や危険を知らせるコースマーシャルを配置したり、エスケープゾーン・クラッシュパットを設置したり、可能な限りの安全設備も完備され、万が一の際のダメージを少しでも減らす努力が日々行われています。
普段のサーキットでは、レースが行われたり、タイムを縮める為の練習走行が行われていたりというように、「少しでも速く走る」という共通の目的意識をもった人たちが走行しています。
ですが、いわゆる走行会の目的は、「少しでも速く走る」事ではありません。
サーキットを走ってみたいという思いは全ての参加者に共通だと思いますが、その具体的な目的(タイムであったり、フォームであったり、膝を擦りたいであったり)は人によって実に様々で、これは一般公道の状況ととても良く似ています。
排気量が違うオートバイ、技量が違うライダーが、同時に同じ場所を走る訳ですので、そこには必ず守らなければならないルールやマナーがあります。ルールやマナーが守られなければ、防げる事故も防ぐことが出来なくなり、結果的にはサーキットでの走行会を開催する事が出来なくなってしまうかもしれません。
この特集ページでは、走行会への申し込みから当日の走行終了までを時系列で追うかたちで、サイドスタンド(SIDESTAND.JP)からのアドバイスを掲載しますが、
という大原則を常に忘れないようにして下さい。
整備が出来ていないオートバイでサーキットを走行する事は、あなただけでなく、一緒に走っているライダーの命を危険に晒します。あなたのバイクのカウルから脱落したネジが原因で、後続車のタイヤが高速走行中にパンクしたら… そういったことが起こらないように、参加者全員が気をつけてさえいれば…
ピットイン・ピットアウト、追い抜きや追い越しの手順も同様です。あなたの無理な車線変更が原因で、後続車が転倒してしまったら…
あなたの身を守る事は、結果的に他人の身も守ることに繋がります。これは一般公道でも同じです。
参加する走行会が決まったら、開催日に向けて、少しづつ準備をしていきましょう。
主催者からの参加説明書や参加受理書には、集合時間や走行時間などを始め、当日の持ち物など、とても大切な事が書かれています。まずはゆっくりと書類を読み、分からない事があれば、自分だけで判断するのではなく、主催者まで問合せしてください。
また、サーキットまでの移動時間や移動ルート、有料道路の料金などは、サーキットのサイトのアクセスマップなどを参考に、事前に調べておきましょう。
装備は自分自身を護る大切なものです。革ツナギのレンタルが出来る走行会も増えてきましたし、ライディングジャケット・パンツなど、比較的軽装でも参加出来る走行会も沢山あります。走行会の参加条件に合っているなら、今お使いの装備のまま参加して構わないと思いますが、
などは、この機会に新しい物と取り替えたり、きちんと補修や洗濯をしておく事をお勧めします。快適な装備だと、ライディングに集中出来ますよ。
ツナギやブーツなどの装備の補修には2週間程度の時間を要する事が多いので、補修は余裕をもって依頼して下さいね。
あまり考えたくない事ですが、オートバイには転倒がつきものです。しっかりした装備を身につけていれば身体のダメージは最小限で済む事もありますが、ブレーキレバーやクラッチレバーが折れてしまっただけで、自力で自宅まで戻ることが出来なくなってしまうかもしれませんので、
をスペア部品として用意しておくと万が一の際にも安心です。部品が届くまでには結構時間がかかりますので、走行会への参加が決まったら、いきつけのディーラーさんにオートバイの点検と同時に手配をお願いするのも良いでしょう。
サーキット走行時だけでなく、ツーリングの時にもレバー類を携行しておくと安心ですね。
また、万が一の転倒の際に車両の引き上げを安心して依頼出来るロードサービスなどへの加入をこの機会に検討するのも良いでしょう。
サーキット走行は、街乗り以上に愛車を酷使します。日常の運転と比べると速度域もかなり高く、また、加減速も激しく行いますので、タイヤ、ブレーキ、オイル、チェーンなどの消耗は想像以上に進みます。
いきつけのディーラーがあれば、サーキット走行に参加する旨を伝えて点検を実施してもらい、交換時期が近そうな消耗品は早めに交換をお願いしてください。点検・交換後は、サイドスタンド(SIDESTAND.JP)の車歴管理システムへの入力を忘れずに! 次回以降のメンテナンス管理がとても簡単に楽しく出来ますよ!
同じ点検を走行の直前にも行いますが、
などを中心に点検してもらって下さい。異常があるようでしたら、走行会までに交換してもらって下さいね。
一般道と違い、サーキットの路面はミュー(タイヤのグリップ力を表す単位)が高く、ブレーキにかかる負担が大きくなります。安全に走行するためには前後のブレーキパッドの残量を確認することはもとより、パッドの斜め減りやキャリパーのピストンが正常に作動しているかなどを確認しておく必要があります。
また、ブレーキフルードが古くなっている場合には、フェード現象やベーパーロック減少を起こす原因となる危険性があるので、前回の交換から時間が経っている場合やフルードが変色している場合にはあらかじめ交換しておきましょう。
また、ブレーキキャリパーの固定ボルトや、ブレーキパッドの固定ボルトの弛みのチェックも忘れずに!
特に、リアブレーキの点検はおろそかになりがちですので、この機会にしっかりと点検して下さいね。
ディスクブレーキと比較すると、シューの残量を直接目視で確認するのは難しいですが、出来れば直接残量を確認してもらう事をお勧めします。難しい場合はインジケーターをしっかり確認し、限度が近いようならシューの交換をお願いします。また、ブレーキワイヤーの遊びもしっかり調節してもらって下さい。
レバーやペダルなどの動く部品の軸には、定期的な清掃やグリスの給脂が必要です。サーキットを気持ちよく走る為にも、この機会に是非点検・整備をお願いします。ペダルやロッドの固定ボルトの締め付け点検も忘れずに。
一般道での走行と比べると、サーキット走行はチェーンにも非常に負荷が掛かります。サーキット走行用の特別な調整は不要ですが、
を確認し、遊びの量が規定の範囲から外れていれば調整をお願いします。また、同時に、
も確認し、確実な給脂と、消耗が激しい場合には交換をお薦めします。特に前側のスプロケットはカバーなどを外さないと状態が確認出来ない車両が殆どですので、この機会に是非しっかりと確認してもらって下さい。
サーキット走行は、通常の走行と比べるとエンジンの回転数が高い状態が長時間続きますので、エンジンオイルやギアオイルも急速に消耗します。
などを点検し、必要であれば交換しておく事をお勧めします。
いつもの交換周期の半分以上を走行していれば、この機会にオイル交換しておくと安心して走行を楽しめると思います。
また、オイル漏れは自分の安全だけでなく、一緒に走行している全てのライダーの安全を脅かしますので、
などからオイルの滲みや漏れがないかは必ず点検し、オイルの注入口・排出口については、締め付け具合も確実に点検して下さい。出来れば弛み防止のワイヤーロックまで施しておくことを推奨します。
2ストロークの車両のエンジンオイルは、走行のたびに燃えて消費されます。オイルが無くなるとエンジンに深刻なダメージを与え,非常に危険ですので、参加の前には必ずエンジンオイルをオイルタンクに満タン補充してください。また、予備のエンジンオイルを1本持参しておくと、思いのほか走行距離が伸びた時にも安心です。
また、2ストロークの車両のギアオイル(ミッションオイル)の交換はついつい忘れてしまいがちです。前回の交換時期が不明な場合は、この機会に是非交換しましょう。シフトチェンジの感触が良くなって、走行に専念することが出来ると思いますよ!
水冷の車両のみの点検項目になりますが、サーキット走行直後の水温と圧力は非常に上昇しますので、
などを点検してもらって下さい。冷却水やラジエターキャップは経年変化で性能が劣化します。前回の交換から時間が経過している場合は、この機会に交換しておくと安心して走行に専念できます。また、冷却コアに泥が詰まっていたり潰れてしまったラジエターは冷却効果が下がり、オーバーヒートの原因になりますので、この機会に清掃・修正してもらって下さい。
初めてのサーキット走行であれば、特別なセッティングなどは考えず、いつもどおりの状態で参加するのが一番ですが、
があると、漏れたオイルがブレーキやタイヤに付着し、大変危険な状態になりますので、しっかりと点検してもらって下さい。また、リンクタイプのリアサスペンションは、状態の確認がとても大変ですので、良くわからない場合はディーラーさんにお願いして下さいね。